MASH EVENT REPORT

MASHROOM WEST

初代優勝バンドTHE ORAL CIGARETTESが、今や若手バンドの中で随一の存在感を放つまでに至るなど、シーンの中で確固たるブランドを築きつつあるオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」。その所属バンド達が一堂に会す、年に一度のライヴ・イベントとして年初めに行われてきた「MASHROOM」が、この度、初の大阪開催となった。7月25日、場所は梅田CLUB QUATTRO。残念ながらこの日の出演が叶わなかったオーラル(THE ORAL CUGARETTES)とテレン(LAMP IN TERREN)は、山中拓也(Vo&G)と松本大(Vo&G)が各バンドの転換の時間に出演バンド達を紹介する楽しいナレーションという形で参戦。ファンにとっては嬉しい「副音声」だ。開場と共に続々と人が集まってくる中、一番手を務めたYAJICO GIRLのステージが始まった。

昨年Saucy Dogと共に、本オーディションにて初の2バンド同時グランプリを受賞した大学生達による5人組である。姿を現すや否や早速"黒い海"から演奏開始した彼らは、風貌には年齢相応の若さを残すが、その立ち振る舞いに焦りはない。この日会場で販売されていた、それぞれのバンドの名前にかけたオリジナルのドリンク「ヤジコーラ」を自虐的にイジっていたMCも関西らしいノリだ。そして真摯に自身らの音楽を伝えていくような、純真な意志が伝わるステージングが気持ちがいい。グルーヴよりもエモーションが前に出る演奏は5人のプレイ一つひとつをはっきりと際立たせ、軽快なアンサンブルはガチっとはまった瞬間に最高の快感を生み出していく。そこで飾ることなく真っ直ぐな演奏で重ねられていく5人の音は、"MONSTER"のような爽やかな楽曲でさえもこのバンドが内に秘める熱量を伝えていく。だからこそ、四方颯人(Vo)の男気と色気を感じさせる巻き舌で放たれる若者が抱える悩みを歌ったリリックは、弱っても腐らない、迷っても卑屈にならないという強い気概を感じさせるメッセージとなって響くのだ。そして、一転タメを効かせた夏のドライヴが似合うグルーヴィな"Casablanca"を披露し、リズミカルでキャッチーな"いえろう"、"サラバ"の2曲で終演するまでその熱を持続。「僕らはまだ、今んところはそれほど活躍できていないです。でも、いずれめちゃくちゃいいバンドになるので見ていて欲しいです」(四方)という言葉は、きっと9月に控える初の全国流通『沈百景』のリリースを持って真実へと変わるだろう。タッチは軽くマイペースなゆるさを持った音楽性が身体を揺らし、真っ直ぐなリリックが明日を見せるようなロックンロール。彼らは見事トップバッターにして、そのポテンシャルとオリジナリティを十二分に見せつけていった。

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(YAJICO GIRL / 写真:渡邉 一生)

メンバーがひとりずつ、オーディエンスにお辞儀をしながら登場したのがSaucy Dogだ。その人柄を見える形でのライヴ・スタートである。歌いながら喪失の記憶が脳裏を過っているような、石原慎也(Vo&G)の感傷的な声は抜群の記名性を誇るが、何よりこの日印象的だったのは自信に満ちた表情をした3人。『カントリーロード』をリリースし着実に景色が変わってきていることを実感しているのだろうか。"煙"、"ロケット"、"ナイトクロージング"と続いていくステージはいずれもテンションが高く、石原の声は涙を拭いながら未来に叫んでいるような若々しい眩しさがあった。常に互いを意識しているように歩幅を合わせるようなアンサンブルは聴き心地がよく、快調なドラムとギターを繋げるベースは特にしなやかである。「別れの曲をやります。何も飾らない、そのまんまのあなたが見たい。今まで弱かった自分にグッバイ」とアレンジされた"グッバイ"が、いつになく力強い。人との別れを歌う彼は、いつも過去の自分に決着をつけるように声を振り絞っているが、その声に反してせとゆいか(Dr)は象徴的なくらい笑顔で叩き、職人気質なベースがそれらを結んでいく。3人が演奏だけではない人間性の部分からグルーヴを出しているのが窺えるライヴだ。夏には大阪から上京し、東京に行くことも発表した彼らは、「またいつか会えますように」という言葉と共に最後の"いつか"を披露。寂しいけど空しくない、別れても熱だけは残る、そんな別れの歌だ。ノスタルジックなこの歌は、いつのまにか一期一会を大切にしたいという願いの歌のように聴こえてきた。

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(Saucy Dog / 写真:渡邉 一生)

昨年の優勝バンド二組が終わり登場したのはパノラマパナマタウンで、彼らは曲が進んでいくにつれて一気にギアを上げていくような、爆発力のあるライヴを展開。2曲目の"世界最後になる歌は"で合唱が起きオーディエンスのテンションが上がってくると、それに呼応するように岩渕(想太/Vo&G)のエンジンがブーストし、"パノラマパナマタウンのテーマ" を終え"MOMO"に入った辺りでは完全にゾーンに突入していた。そしてそれを可能にしていたのが安定感を増してきた演奏力だろう。ビートの速さに対しスピードを上げないギターのミスマッチで快感を呼び込む"エンターテイネント"のような、4人の演奏力と「間」がモノを言うような楽曲でも迫力が増幅している。最近のライヴでは「一切の嘘偽りなく自分自身を曝け出す」といった腹をくくった感のある岩渕に、これまでにはなかった頼もしさがついてきているのも確かな変化である。だからこそ理想には程遠い現在を受け入れながらも、それでも「やりたいことやった人だけが上手くいく。絶対成功すると思ってます。やりたいことやってシーン変えてやるから、ついてこい」という宣言も、ひとつの芯を持った言葉として響いてくるのだ。今の4人は様々な音楽性を取り入れながら「自分達にとってロックバンドとはどんな存在なのか?」ということの答えを音楽として表現する。春にリリースした『Hello Chaos!!!!』収録の新たな代表曲、"リバティーリバティー"での<鳴らせ自由なビート/教科書なんていらないでしょ>という歌は最高に痛快だった。

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(パノラマパナマタウン / 写真:渡邉 一生)

そんな最高の熱気の中で、この日のトリとしての仕事をきっちりと果たしたのがフレデリック。"峠の幽霊"でいきなり喜色をふんだんに含んだ歓声を呼ぶと、同じく『死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない』に収録された"SPAM生活"と続け、初期の楽曲達を続けて披露。彼らの根っこにある、べっとりとしたグルーヴとレイドバックするような不思議な歌謡ロックが妖艶な照明と共に展開されれば、そこはもう彼らだけの舞台である。「音楽で勝負しに来ました」、「格の違いを見せてやろうぜ」(三原健司/Vo&G)という宣誓も放ちながら、その自信に違わぬプレイを "オドループ"から一気に披露。ドラムやベースはもちろん、ヴォーカルが放つ言葉やギターのリフさえも打楽器のように独特のリズムを持って刻まれていく彼らの楽曲は、瞬く間にフロアを爆発させていく。"オワラセナイト"でこの日最大の熱狂を演出したかと思えば、彼らの音楽の中では比較的シンプルだが力強いメッセージを伝える"ハローグッバイ"でその想い強さを胸に突き刺していく、その多彩さもこの日随一だったと言っていいだろう。そして彼らの未来により大きな期待を持ったのが、「今日披露した曲はすべてMASH A&Rとフレデリックが歩んできた道です。そして次にやるのが、高橋武(Dr)も加えた4人で歩んでいける新しい曲です」という健司のMCから披露された新曲"かなしいうれしい"だ。どうしようもなく抱えてしまう悲しいという感情と、同時にだからこそ抱かざるをえない嬉しいという感情。それらを隔たりなく、併せて引き連れて進んでいくような決意を露わにした楽曲は、新曲とは思えないくらい多くの手を上げさせながら見事に本編ラストを華麗に演出していた。「俺達の伝えたいことは全部音楽に詰め込んでます」と言葉を残しステージを後にした健司だが、彼が最初に口にした「音楽だけで勝負する」というのはこういうことなのだろう。単に巧みなリズムで踊らせるということではないのだ。その上で、己が心に抱く想いも全部伝え切り、リスナーと確かなコミュニケーションを取ろうという意志表示なのだ。

01_frd.jpg02_frd.jpg03_frd.jpg04_frd.jpg05_frd.jpg(フレデリック / 写真:渡邉 一生)

最後はフロアのお客さんはもちろん、この日山中との掛け合いのアナウンスで参加していた松本の、ドスの効いた声でのアンコールも響く中再びフレデリックが登場。特別賞を受賞してからの5年間で得た確信や、後輩バンドへの感謝、同じ高さの目線から訴えるエールを健司が口にしラストの"オンリーワンダー"へ。演奏の途中からはこの日出演したバンドの全メンバーが登場して、解放的なフィナーレを迎えていった。

02_anc.jpg写真:渡邉 一生

健司はMASH FIGHTを優勝した6バンドはすべて、いい意味での「変態」だと言っていた。その音楽を聴いていると自分の中の何かを変えてくれるんじゃないか......!って思えるような、特別なバンドなんだと。それは彼らが全員、自分達の力で何か変えてやろうという気概を持ったバンド達であるということである。このイベントがただの一回きりのものではなく、いずれなんばhatch大阪城ホールで行われることを目指すような旨の発言もあったが、確かにこの曲者達はいつかシーンを丸ごと変えるのかもしれない――理想と野心に燃える4バンドを見ていて、かけつけたリスナーの多くがそんな期待を膨らませたであろう一夜となった。

01_anc.jpg(写真:渡邉 一生)

MASH FIGHT! Vol.6 1st Season MATCH

初代優勝バンドのTHE ORAL CIGARETTESが日本武道館公演を成功に収めるなど、輩出してきたバンド達も着実に大きな成果を上げているオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」。そのプロジェクトが主催する公開ライヴ型オーディション「MASH FIGHT」が、昨年までとは形式を変え6度目の開催を迎えた。東京と大阪でそれぞれバンドを選出し優勝バンドを決めていく流れから、今年は1~3月の1st Season、4~6月の2nd Season、7~9月の3rd Seasonの3つの期間に分け、そこで選ばれたバンド達が最終的にグランプリをかけ「FINAL MATCH」を競い合うというシステムに変更。映像音源審査とその後のライヴ審査で1st Seasonと2nd Seasonを代表するバンドを選出し、そのふたつの期間の代表バンドと映像審査を通過した3rd Seasonのバンド達で「FINAL MATCH」と題されたライヴ審査を行いグランプリを決定するというものだ。7月2日TSUTAYA O-Crestにて行われたのが、映像審査を通過してきた6組のアーティストによるライヴ審査「1st Season MATCH」。12月3日渋谷WWWで開催されるファイナルへのシード権をかけてしのぎを削り合う、僅か15分の出場時間に自身らの未来を懸ける原石達によるステージが始まった。

出音から荒削りだが情熱的な音を聴かせるアンサンブルと、あきやま さる(Vo&Gt)による「渋谷ーー!!」という叫び声が、いきなりバンドのパーソナリティをどっぷりと伝えてくる。平均年齢17.8歳、静岡県出身の青はるまきの舞台がスタートだ。「この瞬間を楽しみにしてきた」と言わんばかりの好奇心と、トップバッターを務めるという緊張感が合わさった歌声が、青春性を伴ったキャッチーなメロディと合わさってステージに熱気をもたらす。そして何よりも特徴的なのが可愛げのあるキッチュな鍵盤の音で、涼しさを持ったこの音がバンドの音楽に合わさり個性的な音像を体現。「今日はオーディションじゃないですか? だから誰に対してライヴするのか、何のためにライヴをするのか考えたんです――手を上げてくれたあなたのために歌います。あなたのために売れます。あなたのためにもっと大きなステージに立ちます」という決意とシンクロするかのような"@余韻"では、前のめりで不器用だが目一杯の熱意が込もり、そこには「これから自分達の歌で多くの人々を連れていきたい」という想いがまんま乗り移っているように感じさせた。

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青はるまき

続く札幌出身のAnger Jully The Sunは90年代オルタナティヴのようなひりついたサウンドを出しながらも、真ん中にあるのはあくまでも低くくぐもったまま伸びていく小竹森敬太(Vo&G)の声。灰色の感情を伝えるような声色が、堂々としたステージングと相まって迷いのない歌として響いてくる。きっとステージに立つ4人全員が「ここでどんな音を鳴らしたいか」をハッキリと共有できているからだろう。「今日は『MASH FIGHT!』っていう大会でライヴに来ましたが、僕らはまったく大会だとは思ってなくて。今日来てるお客さん、PA、スタッフ、すべての人に僕らの気持ちを届けに来ました。長い人生の中の1分1秒でもいい、あなたたちの心に少しでもこの音楽が残るように刻みに来ました。今日来てくれたあなた達のために歌います」(小竹森)という言葉は、きっと彼らが音を鳴らす理由そのものだ。"灰皿"、"望遠鏡"、"youth"とプレイが進むにつれてエモーショナルになっていった彼らのステージには、その切実な信念が貫かれているからこそのブレない「鳴り」があった。

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Anger Jully The Sun

三番手に登場したのはEgoGram。「楽しくいこう」(山本廉/Vo&G)と手短な挨拶を済ませると、山本のクセのある声とそのヴォーカルと火花を散らすようにグイグイと前に出てくる坂田直謄(G)の硬質なギターの音色で、フロアに向かって自身らの存在感を提示していく。「バンドは見ようと思えばYouTubeでも見れるし、その再生回数やTwitterのフォロワー数とかなんでも数字で見れてしまうような、そういう信用できないようなこの時代の中で、今日こうやってみんなが足を運んで見に来てくれてることには何よりも価値があると思う。そんなネットで見れる数字よりも、僕は岡山からこの東京に向かうまでの10時間のほうが信用できるし、ツアーで回った走行時間のほうが信用できるし、ここに来てくれたみんなのことが信用できます。絶対また会いましょう、最後にそんな曲を」という言葉と共に歌われた"グッドバイ"は、4人の抑えきれない情動が見事に乗っかった瞬間で、坂田と垣内渉(B)のコーラスが重なる瞬間のバンドとしての一体感が強烈だ。そんな重く熱いアンサンブルを最後に叩きつけていくパフォーマンスでステージを後にした。

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EgoGram

前半の3組を終え、後半戦の始まりに登場したのはスロウハイツと太陽。名古屋を中心に活動する4人組である。「他の誰かじゃなく、今ここにいるあなたを救うためだけの15分です」(シミズ フウマ/Vo&G)という言葉と彼のはにかんだ笑顔が、このバンドが見せるこの後のステージングを示していたと言っていいだろう。ゆったりとしたBPMを軸にした楽曲達は、感傷的な心情をそのまま映し出すような幼さを残す声を引き立てていき、時に訴えるように歌われていく<居場所なんて どこにもないこと>、<もう生きてちゃいけないと思ったこと>("本当につらくなってしまったあなたへ")という言葉達がストレートに胸のに迫ってくる。「今日が僕らとあなたにとっての夜明けでありますように」(シミズ)という願いと共に奏でられた"夜明け"での、ラスサビを前にして上げられた多くの拳はきっと、終始芯を感じさせる言葉とそれに寄り添うように演奏されたリズムとメロディへの賛辞だろう。

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スロウハイツと太陽

いよいよ残すアクトもふたつとなった五番手として表れたマイアミパーティは、「何もない1日をいい1日にできるように札幌からきました」という掛け声とともにスタート。性急なリフのロックンロール・ナンバーは、さくらいたかよし(Vo&G)の口から畳みかけるように発砲されていくリリックを乗せて子気味よくフロアに迫っていく。「楽しい1日にしましょう。笑って帰る1日にしましょう!」(さくらい)という言葉通りの、彼らのスタンスを存分に伝える爽快な演奏が印象的だ。ギュウギュウに言葉を詰め込みサビでグッと開けていく"夜明け前"のような楽曲の構造ももちろんだが、照れくさそうに口にした「ド緊張ですよ」(さくらい)というMCなども含め、演奏だけではなく言葉の隅々に自分達のリズムを持った姿に彼らのアイデンティティが滲んでいる。「いろんなこと考えました。今日優勝しないと、今ここにいる人達にはもう二度と合えないんじゃないか、メジャーデビューしないとニ度と会えない人もいるんじゃないかって思いました」と素直に語られた不安は、しかし同時にこのバンドが抱く未来への期待の裏返しだろう。地声に近い熱い声に乗ってストレートに響く"アベリア"にはそんな意志が宿っていて、去り際の「俺達とお前らお客さんでいい音楽を未来に残す!」という決意にも胸を熱くさせれた。

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マイアミパーティ

さあ、あっという間に迎えた最終アクトはRollo and Leaps。大学生4人で構成された、都内を中心に活動する正統派のギターロックを聴かせるバンドである。1曲目の"ミッドナイター"を終えた後の「僕らはあんまりカッコいいこととか言えないんで一番いいステージして帰ります」(高谷瞳二/Vo&G)というMCに象徴されるように、彼らの音楽には余計な飾りつけは一切なし。自分達の武器を真っ直ぐ聴かせるのが上手いバンドで、メロのアレンジは工夫が凝ってはいるが聴き心地はよく、ポピュラリティを持ったサビに向かって聴き手の体内を静かに燃やすような展開が見事だ。そして最も印象に残ったのは"箱庭の子どもたち"を始める時に告げた「俺らに一票入れてください。絶対に決勝に行きたいんで」という「真っ直ぐ過ぎる」セリフだろう。不器用と紙一重の言葉だが、しかしこの日のアクトの中で唯一といってもいいほど「勝負」を意識した高谷の肉声は、彼らの真剣さと音楽に対する情熱を伝えるのには十二分で、"箱庭の子どもたち"の抑えたリズムから生まれるグルーヴには並々ならぬ熱意が憑依しているように聴こえてきた。

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Rollo and Leaps

だが、きっちり他のバンドにはないエネルギーを見せつけていたのが、Rollo and Leapsの終演と同時に始まったオーディエンスと審査員達による投票とその集計を待つ間にゲスト・アーティストとして登場した、本大会の2015年の優勝バンド・パノラマパナタウンである。多くの舞台やプロとしての楽曲制作を体験してきたその経験値を血肉化してきた重厚感のあるアンサンブが快調で、ねっとりしたグルーヴを聴かせる"シェルター"も、彼らの代名詞とも言えるヒップホップを吸収したロックナンバー"ロールプレイング"も、緩急をつけながら爆発していくパフォーマンスを披露。自身らの曲がライヴの中で育っていっていることが如実に表れるプレイであり、何より「ただの30分じゃない。ただのオーディションのライヴじゃない。今日を伝説の夜にしにきました」という岩渕想太(Vo&G)の宣誓にも表れている通り、彼らのスタンスは常にチャレンジャー。「未来のことを考えると正直泣き言を言う時もある。でも、俺達は光しか見てないし、自分達のやりたいことを貫けばシーンを変えられると思ってます。だからみんなもやりたいこと貫いて欲しいと思います」(岩渕)という告白も飛び出したが、ある意味、この日一番「等身大」の姿で臨んでいたのが彼らだろう。苦難を知ったからこそ、真ん中にある理想や信念だけが歌になるようになってきたのだろうか。そんなゲストアクトとしてではなく「7組目のアクト」として登場してきたような熱演は"リバティーリバティー"で終幕し、会場に熱気を残し「結果発表」へとバトンを渡していった。

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パノラマパナマタウン

そして数々のライヴを観た興奮と、結果への期待と不安が会場中を覆う中発表された優勝バンドは、スロウハイツと太陽。投票含めて僅差であったという激戦を制しFINAL MATCHの出場権を手にした彼らが、12月3日、バンドとしての真価を発揮できるかどうか注目だ。

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今回FINAL MATCHへの出演権を獲得したスロウハイツと太陽

All photo by 釘野孝宏

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2017/