MASH EVENT REPORT

MASH FIGHT! Vol.6 2nd Season MATCH

「スロウハイツと太陽」がFINAL MATCHへの切符を手にした、MASH FIGHT 1st Season MATCHから約2ヶ月半。9月24日(日)大阪・福島 LIVE SQUARE 2nd LINEにて、6度目の「MASH FIGHT」本選出場をかけた2nd Season MATCHが開催された。

THE ORAL CIGARETTESやフレデリックを筆頭に、グランプリを獲ったバンド達の活躍がシーンの中でも輝きを見せるなど、確かな実績を積み重ねてきた「MASH FIGHT」とは、MUSICA、A-Sketch、SPACE SHOWER TV、HIP LAND MUSICの4社が共同で開催しているオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」による、公開ライヴ型オーディション。今年から通年でのオーディションシステムが変更になり、今回開催された2nd Seasonで優勝したバンドが、1st Seasonの優勝バンド、そして7〜9月度のマンスリーアーティスト達と共に最終的なグランプリを争うこととなる。

2nd Season MATCHの舞台は、NINYOACTのステージからスタートした。

パープルの照明が妖艶な空気を醸し出す中、オーディション特有の緊張感に包まれた空気を吹き飛ばすかのように、いきなり渾身の爆音を畳みかける。2013年結成、K A Z K I (Vo)、yoshinari(G&Cho)、Shun(B&Cho)の3人にサポート・ドラマーを加えた4人は、開始早々場の空気を自分達のものにしていった。「短い時間だけど楽しんでいこう」(KAZKI)と手短な挨拶と、MC一切なしで展開されるライヴからは場慣れした堂々たる存在感がある。"PRELUDE"、"The Machine"と続くメロディアスでハードエッジな音塊は、サビに突入する度に飛翔感を増していく激情的な歌と相乗的に轟いていく。そんな破壊力と安定感を兼ね備えたバンドアンサンブルに思わず見入る。暗闇から光に手を伸ばすような"インビジブル"では、ギターとベースが柔軟なプレイで歌を活かしながら、鉄槌のように振り下ろされるドラミングが爆発力を見せつけ、自身らの楽曲に対する誇りと自信に満ちたプレイを貫徹。ラウドシーンの将来を担わんとする強い眼差しが印象的な、トップバッターとしての重圧もものともしないステージを披露してみせた。

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NINYOACT

二番手は彼らの意志表示たる一曲"宣戦布告"から始めたBrown Basket。情熱を帯びたややくぐもったヴォーカルが耳を引く、京都上賀茂にて結成されたスリーピースである。富岡星奈(Dr)が腰の怪我で本ライヴの参加が不可能となったことで急遽サポートを入れてのライヴとなったが、岸本和憲(Vo&G)の暴発していくような声がその想いも引っ張っていくような力強さを持ち、聴き手の心を強く打つようなステージを披露していく。"春は彼方"を終えての最初のMCではいきなり自分達のバンド名を噛むほどのつんのめり具合だったが、熱量高く音と言葉をぶつけていくライヴで、「精一杯の僕達の衝動を音楽にできたらいいなと思ってます」(岸本)という言葉こそ、彼らのこの日の音楽を何より端的に表現していたと言っていいだろう。現在バンド唯一のMVが公開されている、彼らの最大の武器"傘と晴天"で終幕したライヴは、微かに物寂しさを感じさせるメロディが、藤原勇弥(B)の冷静沈着なベースと振り絞るような声のコントラストで見せられていく好演だった。メンバー全員が大学生であり、まだ結成から1年強という若いバンドならではの等身大の姿がステージに刻まれた。

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Brown Basket

続いては同じく京都からやってきた男女混成バンド、Crispy Camera Club が登場。結成は2016年、ミサト(Vo&G)、立花克裕(G)、中根トモヒロ(B)、りんすけ(Dr)からなる4人組である。キラキラと光るメロディが80年代グラスゴーから登場したバンド達を彷彿とさせる、この日一番キャッチーなメロディを響かせた"favorite train"でスタート。音楽性、立ち姿共にこの日のバンド達の中でも特徴的な印象を与える4人だが、特に際立っているのがミサトの声だ。女性にしてはやや低い声色で、演奏に埋もれることなく響くストレートな張りと力強さを持った彼女の声は大きな存在感を放っていた。そしてノスタルジックなメロディが印象的な"メイビー"、4つの楽器が一音一音繊細に絡み合いながら淡い情景を描いていく"サブマリン"と、メンバー達の豊かな感性を感じさせる3曲を披露。自然に乗せられていく日本語詞と決して焦らないボトムには爽やかさと知性があり、UKインディ、スウェディッシュ・ポップを混ぜ込んだような楽曲達は聴いているだけで心が弾んでいく。自身らの魅力を伝えながら、瑞々しい余韻をフロアに持ち込みステージを後にしていった。

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Crispy Camera Club

あっという間に4組目にして最終組まで進んできた2nd Season MATCH 、その最後の一組を務めたのが地元の福島県郡山市を拠点に活動するzanpan。じゅんじゅわ(Vo&Gt)、ながいせんせ(Ba)、ツバサ・レイガン(Gt)にサポートのドラムを4人は"あいにく"を披露し、己の背中を自分自身の力で強く押し出し、その等身大の姿で聴き手を鼓舞していくような"ロックンロールとは"へ続いていく。「ネガティヴに前向きなロックンロール」というコンセプトを掲げる彼らは、退屈なまま変わり映えのしない日々の中で「きみ」という確かな希望を見出していく歌を歌っていき、なけなしの意地と勇気を振り絞るように放たれる声と、4人の息のあった合奏が湿っぽくも熱い意志を音楽を生み出していった。「自分が今過ごしている日々は本当にクソだなと思っていて、でもそれを変えたいなと思ってもがいていて。それで今日もここに来ています」(じゅんじゅわ)と言って始めた"最低な日常"。オーセンティックなギターロックながら、時折うねりのあるグルーヴを生み出すアンサンブルが歌詞とシンクロしささやかな希望を醸し出していく、今後も彼らの代表曲であり続けるだろう1曲だ。最後まで気迫のこもった声をフロアに投げ込み、3曲という短いセットリストを終えていった。

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zanpan

全オーディション・バンドのライヴが終了すると、集計結果を待つ間に、昨年の優勝バンド二組によるライヴがスタート。先に登場したのはSaucy Dogで、上京を果たした彼らにとってはある意味凱旋となるステージだろう。『カントリーロード』が好評を博し、先頃終えた東名阪企画を全ヵ所ソールドアウトさせて回ってきた3人。"煙"、"wake"と進むライヴで、優勝後も精力的な活動で支持層を広げてきた勢いと、それによって培われた自力を見せていく。特に石原慎也(Vo&G)は、元々持っていた繊細な感性だけではなく力強さを歌えるようになった印象で、この1年での成長を確かに見せていた。「1年前の気持ちに戻って、今日出ているバンドに負けないように、今日一番みんなを笑顔にしたいです」(せとゆいか/Dr&Cho)と気合いも十分に、全身を使って音を奏でていく3人は終始熱のこもったプレイを披露。「俺らも夢の途中ですけど、ようやくその夢路に足を踏み入れた感じです。同じことの繰り返しで何していいかわかんなくなることがくると思うんですけど、終着点の違いはそれでやめちゃうかやり続けるかだと思う」(石原)というMCは、一度はメンバーが自身だけとなっても続けてきた石原だからこその力の籠る言葉である。YouTubeの再生回数が110万回に達するなど、紛うことなき彼らの代表曲となった"いつか"を堂々歌い上げステージを後にした。

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Saucy Dog

そのバトンを引き継ぎ、見事この日のフィナーレを飾ったのがYAJICO GIRLだった。どこかアーバンなニュアンスも持つ、夏の風を纏ったようなグルーヴが気持ちいい"casablanca"で始まり、2週間前にリリースしたばかりの『珍百景』のオープニング・ナンバー"光る予感"へ。6バンドの中で最高のライヴをしようという意気を感じさせる衝動的なアンサンブルを響かせ、立て続けに"いえろう"に突入。楽器を演奏せずハンドマイクで歌う四方颯人(Vo)の声には独特のリーダーシップがあり、そう上手くは転がって行かない日常を歌っていながら、その声で歌われるとそんな退屈な毎日が好転していく気がするから不思議だ。楽器隊4人も一皮むけた息の合ったパフォーマンスを見せ、軽快なアレンジで聴かせる"ロマンとロマンス"、ミッドテンポの"黒い海"と続いていく楽曲のレパートリーに安定感がもたらされている。キャッチーなだけではない高揚感を放つようになったのが、今のYAJICO GIRLなのだ。ラストの"サラバ"まで一気に駆け抜けるステージは、この日一番の爽快感を放っていたと言っていいだろう。四方がアウトロを残しステージを去った中、この日の熱気を最後の一滴まで絞り尽くすようにエネルギッシュな4人のアンサンブルがバンドの未来を見せるように力強く響き渡っていった。

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YAJICO GIRL

そして彼らの熱演による余韻も残る中、オーディエンスのすべての関心を集めながら発表された優勝バンドはzanpan。「12月にはバンドとしてもっとデカくなって戦っていく」(じゅんじゅわ)という誓い通り、約2ヶ月後に迫った最終オーディションにて真の飛躍を見せられるか。その期待と共に、2nd Season MATCHは幕を下ろした。

「MASH FIGHT FINAL MATCH」は12月3日(日)、東京・渋谷WWWにて開催。スロウハイツと太陽、zanpan、そしてこれから最終選考される7〜9月度のマンスリーアーティストによるグランプリをかけての熱戦を、ぜひその目で目撃して欲しい。

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今回FINAL MATCHへの出演権を獲得したzanpan

All photo by 渡邉一生

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2017/