MASH EVENT REPORT

『MASH FIGHT! Vol.6 FINAL MATCH』のレポートを公開!

今年1月~3月を1st Season、4月~6月を2nd Seasonとし、それぞれの期間の応募の中から映像審査と公開ライヴ審査を経て選出された2バンド。それに加え、7月~9月の3rd Seasonから映像選考を経て選出された4バンド。計6組が集った「MASH FIGHT! Vol.6」の最終決選が、今年も渋谷WWWで行われた。THE ORAL CIGARETTESやフレデリックを始め、ここから羽ばたいたバンド達の活躍は既にご存知いただいているだろうが、「NEW ROCK NEW STANDARD」を掲げるプロジェクトらしく、普遍性はもちろん、新しい価値観を切り開くだけの独自性やオルタナティヴな音楽性の中に可能性を見出してきたMASH A&Rだけに、この日集った6組は見事に6者6様で、持ち時間15分に個性をギュッと凝縮したライヴの数々が今年もWWWを熱気に包んだ。

まず登場したのは、MASHオーディションの3rd Season・9月度のマンスリーアーティストに選出された灰色ロジック。茨城を出自にする、半田修士(Vo&G)、深谷雅博(Dr)、張替和輝(B&Cho)によるスリーピースバンドだ。登壇するなり、応募楽曲"モーニング"を名刺代わりに披露。独り言を囁くように一節を歌い上げると、「MASH渋谷、どうぞよろしく! イエーイ!」と、手短だけれど気合いを十二分に感じさせる半田の挨拶でライヴの火蓋を切ると、オーセンティックなロックンロールを基調にしながらも深い音響を纏って心地よく伸びるアンサンブルで、会場を包み込んでいく。一転、"知らない街"では、スモーキーな歌声と伸びやかなメロディが力感いっぱいにバンドを引っ張っていくようなパフォーマンス。日常の中にある機微を丁寧に拾っては日記を綴っていくような歌だが、その眼は真っ直ぐに客席の人々を見据え、力感いっぱいの歌が真っ直ぐに飛んでくる。「俺が伝えたいことはここに全部詰めたつもりです。そういう曲を最後にやります」と添えて披露された終曲は"ナイトトレイン"。飾りっ気のない8ビートに<いつだって俺は生きている>という言葉を全力で叫ぶ歌に引っ張られて思わずつんのめるように加速していき、短い時間ではあったが力感に満ちたアクトを刻み込んで灰色ロジックはステージを降りた。

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灰色ロジック

(撮影:白石達也)

続いて、灰色ロジックと同じく、9月のマンスリーセレクトから選出されたReady at Dawn。まずはドンと一発轟音を放つと、ライヴの号砲は"オートマトン"。ギターのSHOTAが弾き倒す不遜なギターフレーズはオルタナティヴロックからの影響を強く感じさせるものだが、縦ノリを強調したリズムとメロディは2010年代のギターロックとして非常に王道性の高いもの。尖った同期音が四方八方から飛び交う中、主張の強い4音それぞれがグイグイと押し切ってくるような演奏だ。彩りと主張豊かな音をひとつに束ねられているのは、ヴォーカル&ギターのマコトの安定感と艶のある声質によるところが大きいだろう。不敵さを強く感じさせたかと思えば、一気にバーストしていく瞬間との行き来が目まぐるしく、その歌の物語性で魅せるところに一番の武器がある。マコトがギターを置いてじっくりと歌い上げる"ベティによろしく"では、抑制の効いたクールなリズムとセクシーな歌声で会場からはハンドウェーヴが。「売れたいっす。そんな自分達のエゴがあんた方のためになったら嬉しいです」と語ったMCから雪崩れ込んだラスト曲"月のない夜に"は、前2曲とは一転して、装飾を削いで前のめりな勢いが際立つ王道のギターロックだ。安定感のある演奏はそのまま、エンディングに向かうにつれて明らかに昂って熱を帯びていく歌がいい。スタイリッシュな佇まいに音色の多彩さと洗練が先立つが、その実は「あんた方」とマコトが話したように、汗臭いくらいに暑苦しく語り掛ける実直なロックバンド。完成度の高い楽曲自体を食い破らんとするエモーションを叩きつけるアクトは、確実に鮮烈なインパクトを残しただろう。

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Ready at Dawn

(撮影:白石達也)

3番手には、福島県を拠点に活動するzanpanが登場。MASH FIGHT!の2nd Season勝者としてこのFINALに進出した4ピースだ。じゅんじゅわ(Vo&G)、ながいせんせ(B&Cho)、ツバサ・レイガン(G&Cho)にサポートドラム。ステージに登場すると、スッと前を見据えた刹那、透明感のあるアルペジオが鳴り響く。ハスキーな歌声が掠れるギリギリをスーッと泳いでいく"歩幅"は決して派手な装飾が施されているわけではないが、ポップなメロディで真っ向勝負を打つ堂々としたオープニングである。続けて「自分の背中を押せるのは自分しかいないということ」という口上から雪崩れ込んだ"ロックンロールとは"は、塊感のあるサウンドを叩きつける直球勝負。ながいとツバサのユニゾンコーラスとじゅんじゅわの掛け合いがスピード感を生んでいく中、回りくどい表現と展開の一切を削いで自分にとってのロックンロールとは?を掲げる1曲は、歌と言葉の輪郭をハッキリ持って鳴り響いた。「変わろうと思って変わるのは自分自身、だけど変わるきっかけを与えてくれるのは他人。そいつと最後に笑いあえたら、そんなにいいことはないなと思います」と語って、ラストはMASHに応募した楽曲"最低な日常"。フォーキーなメロディで日常と自分の背中を押す楽曲に、彼らの音楽の理由と根拠がすべて詰まっているのだろう。<僕の最低な日常が/君となら確かに変わったんだ/君をもっと知りたい>と訴える歌の情けなさと、それをひっくり返そうともがく切実さに、zanpan(ザンパン)と名付けられたバンドのプライドがキッチリと映っていたと思う。

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zanpan

(撮影:白石達也)

続いては、初っ端からハイテンションなバンド名紹介で煽り、祭囃子のようなフレーズでアゲアゲのスタートダッシュを見せたFADE LEAVES。"ROCK PARTY"という名の通り、レゲトンの跳ねたリズムに合わせて横山(B)も加藤(G)も好き放題に踊りまくっては客席を手招くように前へと出る1曲で、WWWは一気に煌びやかな空間へ変貌。特に全身でベースを弾くような横山の動きは奇妙さと妖艶さをクルクルと行き来して、下世話なほど煌びやかなバンドのキャラクターの大部分を担っている。「音楽が大好きな気持ちを出せるように、今日は楽しみましょう」と語り掛ける渋木にしても、ほぼすべてを歌いながらビートを刻む金田にしても、楽しいという感情が全身から溢れ出しているアクトである。「俺達もここに来られてライヴができているけど、今日ここに来たかったけど来られなかった人もいるかもしれない。だからこそ、ここに来られたあなたに拍手。もういなくなってしまった人の分も、俺達はやっていかなくちゃいけない。だから、音楽が好きだっていう気持ちを表現していこう」という熱いMCから披露された楽曲は、<青春が止まらない>という一節がスコーン飛んでくる、清涼飲料水のCMで流れていそうなメロディに主軸がある"ワンダータクト"。感情が先走って歌が前のめりになる場面もあったが、<wow wow>のシンガロングでその場すべての人を巻き込もうとがむしゃらな姿で最後まで突っ走る4人の姿がひたすらカラフルに映る3曲だった。

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FADE LEAVES

(撮影:白石達也)

終盤戦に突入すると、お次は詩情を強く匂わせるバンド名通り、自身の内面を抉り出す言葉を連射していく歌の応酬が印象的な4人組が登場。ポエトリーを交えながら蒼い歌声を刺すように繰り出していくのは、今オーディションの1st Seasonを制して勝ち上がって名古屋からやってきた4ピース、スロウハイツと太陽である。一音鳴った瞬間から、音に潜り込む速さと深さが凄まじい。「学校」を象徴に現代社会そのものを想起させる情景と、その中で居場所を失って行く感情を列挙しながらギターの音の壁と叫びが立ち上がっていく"本当につらくなってしまったあなたへ"。自分の吐き出す言葉で自分自身を抉り、その行き場のない心を掬おうとするシミズの歌には、無垢な少年性と醒めた大人を行き来するような両面性がある。「あなたが僕達に初めて出会ったのかどうかは関係なくて、今のあなたと、いつか苦しくてたまらなかったあなたと救いたいと本気で思っています」と語るこのバンドはシューゲイザーの影響を色濃く感じる音像の深さが印象的だが、とにかく、まるで泣き叫ぶように震えながら破裂していく歌の力の素晴らしさが鮮烈である。無償の愛を受けながらそれを背負って行くことの重みに破裂していくような歌"1960"の迫真のパフォーマンスには思わず息を呑む。「この照明がないと生きられないと思ったのは僕達だけじゃない」という言葉で共演者も来場者も祝福するような言葉を添えて雪崩れ込んだ"光の中へ"。痛切な歌も泣きの強いギターもそのままに、すべてを振り切っていくスピードと深い残響を残してステージを降りたスロウハイツと太陽。爪痕と傷跡をクッキリと刻むアクトだった。

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スロウハイツと太陽

(撮影:白石達也)

さあ、オーディションアクトのラストを飾る唯一の男女混成5ピースは、自称「ハイパー台湾ニーハオジャパンバンド」、四丁目のアンナだ。ステージの幕が開くと、ドンドンドドドンッ!というビートに合わせてギターのともちん(男性です)が長髪を振り乱し、その強烈なヴィジュアルと愛嬌あるキャラクターで煽りまくる。オープニングを飾る"sarigiwa-no-girl"は、性急でハイテンション過ぎるジュディ・オングのような、あるいは古き良き昭和歌謡に今のビート感とオリエンタルな要素を注入したような、不思議な食べ合わせ感と壮快感が突き抜ける1曲。ハイトーンな歌声の突き抜け具合は間違いなく武器のひとつだが、たとえば外国語の挨拶をリズミカルに交えながら猛進する"台湾の留学生"では、やたらと獰猛なビート感と重心の低いリズムが強烈なパンチを放つ。音楽的な混ざり具合にしても、ともちんをはじめとして好き放題に舞いまくるステージングにしても非常に自由で楽しいが、その音楽の根っこからはパンキッシュな衝動がダダ漏れているのがいい。ただでさえ短いライヴ時間の中で「来年の1月にワンマンライヴがあります。チケット持ってきてます」と告知までしていくところも太々しくていいが、ラストに披露した"花と嫁"まで、ストロングスタイルな演奏はあくまでロックバンドとしての姿勢を響かせながら、リズムと摩訶不思議な歌詞とキャラクターが混然一体となって広がっていく音楽集団という言葉が似合うパフォーマンスだった。オーディションであることを一瞬忘れてしまうような時間を誰もが過ごしただろう。

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四丁目のアンナ

(撮影:白石達也)

気合いと個性にまみれたオーディションアクトは終了し、最終審査を待つ間はゲストアクトのライヴである。昨年のMASH FIGHT!Vol.5のグランプリを獲得した「先輩」であるYAJICO GIRLが登場すると、小気味いいリズムと四方のまろやかな歌声がリラクシングな空間を作り出す。気合い溢れる爆音のアクトが続いた後ということもあって、風通しのいい音の重なりが爽やかな風のように響き渡っていく。「自由に楽しんでいってください」という言葉の通り、"Casablanca"のトロピカルなフレーズと腰を揺らすリズムの上で気ままに舞う四方の姿が目と耳に楽しいが、この1年での成長がハッキリと表れているのは、その歌とリズムの安定感。踊らせながらきっちりと聴かせる、そのバランス感覚に秀でているバンドであることを「凱旋」で魅せていく5人だ。「これは、勝ったら事務所が契約してくれるっていうイベントで。それで大人の人と話する機会が増えて、そこで進境が変わったことでできたのが"沈百景"です」と、MASHと自分達の関係をフワッと説明してから披露したのは、"光る予感"。先ほどのリラックスしたムードを一瞬で塗り替え、一気に音に没頭していくようなパフォーマンス。グランプリを獲得してからは、音楽的にも精神的にも忙しく目まぐるしい日々が続いただろう。その1年を経てこの場で再びライヴをすることはきっと、現在地と初心を再度確認することに繋がったはず。終始マイペースな「らしい」5曲だったが、深い残響を残した"サラバ"まで、ひたすら丁寧に歌を届け続ける痛快なライヴだった。

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YAJICO GIRL

(撮影:白石達也)

そして、こちらもYAJICO GIRLとともに昨年のグランプリを獲得したSaucy Dog。今年5月にファーストミニアルバムをリリースしたばかりだが、来年のスペシャ列伝ツアー出演も決定するなど、急速に状況を拡大してきたこの1年をキッチリ示すライヴを見せていく。まるで呼吸のような石原の歌声がスーッと空間いっぱいに伸びていく"マザーロード"にしても、少年性と女性性の両方がクルクルと入れ替わりながらつんざくような叫びになっていく"煙"にしても、ギターロックの青春性を彼らが求める必然を感じてしまうような、一心不乱にメロディと同化しては内面を切実に吐露していく歌だ。メロディと歌に憑依されたかのような歌いっぷりにゾクッとしてしまう瞬間が暇なく訪れるライヴ。「あなたの希望になる歌を」という言葉とともに演奏された"ロケット"では、つんのめるようなスピードと緊迫感に満ちたアンサンブルで爆走。石原の歌の響きは類まれな武器として変わらぬまま、バンドとして一気に行くところの瞬発力とビルドアップが成長としてハッキリ表れているステージである。MCでは「みんな、もうちょっと動いてもいいんだぜ?(笑)」と語り掛けておどけるなど珍しい場面もあったが、「僕の言葉を最高の形で届けられるのは、このメンバーがいてこそ。僕の一番の武器はこのメンバーだと思ってます」と、変わらぬ自身のバンド観とともに放ったのは"いつか"。この1年で押しも押されぬ代表曲を凄絶に歌い上げてステージを降りた3人だったが、イベントの大トリと言うよりも、歌にもバンドにも未だ可能性だらけだということを示すようなライヴという意味では、MASH A&Rというプロジェクトそのものを象徴しているような感さえあった。

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Saucy Dog

(撮影:白石達也)

 百花繚乱という言葉が似合う、個性豊かなラインナップで争われた今年のMASH FIGHT!。しかし最終審査の結果は、Vol.3以来の「グランプリ該当者なし」となった。その経緯はMASH A&Rを構成する4社を代表して鹿野 淳氏から「音楽とこの先の人生をともに展望し歩んでいくイメージを抱くことが、今日の最終オーディションの中でできなかった」というハッキリとした説明があったが、このステージは、全力で個性を研いで激突するバンドとMASH A&Rの真剣勝負の場所でもある。参加してくれたバンド達に深い敬意と感謝を丁寧に述べた上で、嘘のない言葉で伝えられた結果だった。

MASH A &Rの来年へ向けての動きはこれから詳しく発表されていくとのことだが、この場所が、6バンドにとっても新たな可能性と大きな飛躍のきっかけとなっていくよう、心から願う。

MASH FIGHT! Vol.6 2nd Season MATCH

「スロウハイツと太陽」がFINAL MATCHへの切符を手にした、MASH FIGHT 1st Season MATCHから約2ヶ月半。9月24日(日)大阪・福島 LIVE SQUARE 2nd LINEにて、6度目の「MASH FIGHT」本選出場をかけた2nd Season MATCHが開催された。

THE ORAL CIGARETTESやフレデリックを筆頭に、グランプリを獲ったバンド達の活躍がシーンの中でも輝きを見せるなど、確かな実績を積み重ねてきた「MASH FIGHT」とは、MUSICA、A-Sketch、SPACE SHOWER TV、HIP LAND MUSICの4社が共同で開催しているオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」による、公開ライヴ型オーディション。今年から通年でのオーディションシステムが変更になり、今回開催された2nd Seasonで優勝したバンドが、1st Seasonの優勝バンド、そして7〜9月度のマンスリーアーティスト達と共に最終的なグランプリを争うこととなる。

2nd Season MATCHの舞台は、NINYOACTのステージからスタートした。

パープルの照明が妖艶な空気を醸し出す中、オーディション特有の緊張感に包まれた空気を吹き飛ばすかのように、いきなり渾身の爆音を畳みかける。2013年結成、K A Z K I (Vo)、yoshinari(G&Cho)、Shun(B&Cho)の3人にサポート・ドラマーを加えた4人は、開始早々場の空気を自分達のものにしていった。「短い時間だけど楽しんでいこう」(KAZKI)と手短な挨拶と、MC一切なしで展開されるライヴからは場慣れした堂々たる存在感がある。"PRELUDE"、"The Machine"と続くメロディアスでハードエッジな音塊は、サビに突入する度に飛翔感を増していく激情的な歌と相乗的に轟いていく。そんな破壊力と安定感を兼ね備えたバンドアンサンブルに思わず見入る。暗闇から光に手を伸ばすような"インビジブル"では、ギターとベースが柔軟なプレイで歌を活かしながら、鉄槌のように振り下ろされるドラミングが爆発力を見せつけ、自身らの楽曲に対する誇りと自信に満ちたプレイを貫徹。ラウドシーンの将来を担わんとする強い眼差しが印象的な、トップバッターとしての重圧もものともしないステージを披露してみせた。

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NINYOACT

二番手は彼らの意志表示たる一曲"宣戦布告"から始めたBrown Basket。情熱を帯びたややくぐもったヴォーカルが耳を引く、京都上賀茂にて結成されたスリーピースである。富岡星奈(Dr)が腰の怪我で本ライヴの参加が不可能となったことで急遽サポートを入れてのライヴとなったが、岸本和憲(Vo&G)の暴発していくような声がその想いも引っ張っていくような力強さを持ち、聴き手の心を強く打つようなステージを披露していく。"春は彼方"を終えての最初のMCではいきなり自分達のバンド名を噛むほどのつんのめり具合だったが、熱量高く音と言葉をぶつけていくライヴで、「精一杯の僕達の衝動を音楽にできたらいいなと思ってます」(岸本)という言葉こそ、彼らのこの日の音楽を何より端的に表現していたと言っていいだろう。現在バンド唯一のMVが公開されている、彼らの最大の武器"傘と晴天"で終幕したライヴは、微かに物寂しさを感じさせるメロディが、藤原勇弥(B)の冷静沈着なベースと振り絞るような声のコントラストで見せられていく好演だった。メンバー全員が大学生であり、まだ結成から1年強という若いバンドならではの等身大の姿がステージに刻まれた。

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Brown Basket

続いては同じく京都からやってきた男女混成バンド、Crispy Camera Club が登場。結成は2016年、ミサト(Vo&G)、立花克裕(G)、中根トモヒロ(B)、りんすけ(Dr)からなる4人組である。キラキラと光るメロディが80年代グラスゴーから登場したバンド達を彷彿とさせる、この日一番キャッチーなメロディを響かせた"favorite train"でスタート。音楽性、立ち姿共にこの日のバンド達の中でも特徴的な印象を与える4人だが、特に際立っているのがミサトの声だ。女性にしてはやや低い声色で、演奏に埋もれることなく響くストレートな張りと力強さを持った彼女の声は大きな存在感を放っていた。そしてノスタルジックなメロディが印象的な"メイビー"、4つの楽器が一音一音繊細に絡み合いながら淡い情景を描いていく"サブマリン"と、メンバー達の豊かな感性を感じさせる3曲を披露。自然に乗せられていく日本語詞と決して焦らないボトムには爽やかさと知性があり、UKインディ、スウェディッシュ・ポップを混ぜ込んだような楽曲達は聴いているだけで心が弾んでいく。自身らの魅力を伝えながら、瑞々しい余韻をフロアに持ち込みステージを後にしていった。

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Crispy Camera Club

あっという間に4組目にして最終組まで進んできた2nd Season MATCH 、その最後の一組を務めたのが地元の福島県郡山市を拠点に活動するzanpan。じゅんじゅわ(Vo&Gt)、ながいせんせ(Ba)、ツバサ・レイガン(Gt)にサポートのドラムを4人は"あいにく"を披露し、己の背中を自分自身の力で強く押し出し、その等身大の姿で聴き手を鼓舞していくような"ロックンロールとは"へ続いていく。「ネガティヴに前向きなロックンロール」というコンセプトを掲げる彼らは、退屈なまま変わり映えのしない日々の中で「きみ」という確かな希望を見出していく歌を歌っていき、なけなしの意地と勇気を振り絞るように放たれる声と、4人の息のあった合奏が湿っぽくも熱い意志を音楽を生み出していった。「自分が今過ごしている日々は本当にクソだなと思っていて、でもそれを変えたいなと思ってもがいていて。それで今日もここに来ています」(じゅんじゅわ)と言って始めた"最低な日常"。オーセンティックなギターロックながら、時折うねりのあるグルーヴを生み出すアンサンブルが歌詞とシンクロしささやかな希望を醸し出していく、今後も彼らの代表曲であり続けるだろう1曲だ。最後まで気迫のこもった声をフロアに投げ込み、3曲という短いセットリストを終えていった。

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zanpan

全オーディション・バンドのライヴが終了すると、集計結果を待つ間に、昨年の優勝バンド二組によるライヴがスタート。先に登場したのはSaucy Dogで、上京を果たした彼らにとってはある意味凱旋となるステージだろう。『カントリーロード』が好評を博し、先頃終えた東名阪企画を全ヵ所ソールドアウトさせて回ってきた3人。"煙"、"wake"と進むライヴで、優勝後も精力的な活動で支持層を広げてきた勢いと、それによって培われた自力を見せていく。特に石原慎也(Vo&G)は、元々持っていた繊細な感性だけではなく力強さを歌えるようになった印象で、この1年での成長を確かに見せていた。「1年前の気持ちに戻って、今日出ているバンドに負けないように、今日一番みんなを笑顔にしたいです」(せとゆいか/Dr&Cho)と気合いも十分に、全身を使って音を奏でていく3人は終始熱のこもったプレイを披露。「俺らも夢の途中ですけど、ようやくその夢路に足を踏み入れた感じです。同じことの繰り返しで何していいかわかんなくなることがくると思うんですけど、終着点の違いはそれでやめちゃうかやり続けるかだと思う」(石原)というMCは、一度はメンバーが自身だけとなっても続けてきた石原だからこその力の籠る言葉である。YouTubeの再生回数が110万回に達するなど、紛うことなき彼らの代表曲となった"いつか"を堂々歌い上げステージを後にした。

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Saucy Dog

そのバトンを引き継ぎ、見事この日のフィナーレを飾ったのがYAJICO GIRLだった。どこかアーバンなニュアンスも持つ、夏の風を纏ったようなグルーヴが気持ちいい"casablanca"で始まり、2週間前にリリースしたばかりの『珍百景』のオープニング・ナンバー"光る予感"へ。6バンドの中で最高のライヴをしようという意気を感じさせる衝動的なアンサンブルを響かせ、立て続けに"いえろう"に突入。楽器を演奏せずハンドマイクで歌う四方颯人(Vo)の声には独特のリーダーシップがあり、そう上手くは転がって行かない日常を歌っていながら、その声で歌われるとそんな退屈な毎日が好転していく気がするから不思議だ。楽器隊4人も一皮むけた息の合ったパフォーマンスを見せ、軽快なアレンジで聴かせる"ロマンとロマンス"、ミッドテンポの"黒い海"と続いていく楽曲のレパートリーに安定感がもたらされている。キャッチーなだけではない高揚感を放つようになったのが、今のYAJICO GIRLなのだ。ラストの"サラバ"まで一気に駆け抜けるステージは、この日一番の爽快感を放っていたと言っていいだろう。四方がアウトロを残しステージを去った中、この日の熱気を最後の一滴まで絞り尽くすようにエネルギッシュな4人のアンサンブルがバンドの未来を見せるように力強く響き渡っていった。

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YAJICO GIRL

そして彼らの熱演による余韻も残る中、オーディエンスのすべての関心を集めながら発表された優勝バンドはzanpan。「12月にはバンドとしてもっとデカくなって戦っていく」(じゅんじゅわ)という誓い通り、約2ヶ月後に迫った最終オーディションにて真の飛躍を見せられるか。その期待と共に、2nd Season MATCHは幕を下ろした。

「MASH FIGHT FINAL MATCH」は12月3日(日)、東京・渋谷WWWにて開催。スロウハイツと太陽、zanpan、そしてこれから最終選考される7〜9月度のマンスリーアーティストによるグランプリをかけての熱戦を、ぜひその目で目撃して欲しい。

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今回FINAL MATCHへの出演権を獲得したzanpan

All photo by 渡邉一生

MASHROOM WEST

初代優勝バンドTHE ORAL CIGARETTESが、今や若手バンドの中で随一の存在感を放つまでに至るなど、シーンの中で確固たるブランドを築きつつあるオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」。その所属バンド達が一堂に会す、年に一度のライヴ・イベントとして年初めに行われてきた「MASHROOM」が、この度、初の大阪開催となった。7月25日、場所は梅田CLUB QUATTRO。残念ながらこの日の出演が叶わなかったオーラル(THE ORAL CUGARETTES)とテレン(LAMP IN TERREN)は、山中拓也(Vo&G)と松本大(Vo&G)が各バンドの転換の時間に出演バンド達を紹介する楽しいナレーションという形で参戦。ファンにとっては嬉しい「副音声」だ。開場と共に続々と人が集まってくる中、一番手を務めたYAJICO GIRLのステージが始まった。

昨年Saucy Dogと共に、本オーディションにて初の2バンド同時グランプリを受賞した大学生達による5人組である。姿を現すや否や早速"黒い海"から演奏開始した彼らは、風貌には年齢相応の若さを残すが、その立ち振る舞いに焦りはない。この日会場で販売されていた、それぞれのバンドの名前にかけたオリジナルのドリンク「ヤジコーラ」を自虐的にイジっていたMCも関西らしいノリだ。そして真摯に自身らの音楽を伝えていくような、純真な意志が伝わるステージングが気持ちがいい。グルーヴよりもエモーションが前に出る演奏は5人のプレイ一つひとつをはっきりと際立たせ、軽快なアンサンブルはガチっとはまった瞬間に最高の快感を生み出していく。そこで飾ることなく真っ直ぐな演奏で重ねられていく5人の音は、"MONSTER"のような爽やかな楽曲でさえもこのバンドが内に秘める熱量を伝えていく。だからこそ、四方颯人(Vo)の男気と色気を感じさせる巻き舌で放たれる若者が抱える悩みを歌ったリリックは、弱っても腐らない、迷っても卑屈にならないという強い気概を感じさせるメッセージとなって響くのだ。そして、一転タメを効かせた夏のドライヴが似合うグルーヴィな"Casablanca"を披露し、リズミカルでキャッチーな"いえろう"、"サラバ"の2曲で終演するまでその熱を持続。「僕らはまだ、今んところはそれほど活躍できていないです。でも、いずれめちゃくちゃいいバンドになるので見ていて欲しいです」(四方)という言葉は、きっと9月に控える初の全国流通『沈百景』のリリースを持って真実へと変わるだろう。タッチは軽くマイペースなゆるさを持った音楽性が身体を揺らし、真っ直ぐなリリックが明日を見せるようなロックンロール。彼らは見事トップバッターにして、そのポテンシャルとオリジナリティを十二分に見せつけていった。

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(YAJICO GIRL / 写真:渡邉 一生)

メンバーがひとりずつ、オーディエンスにお辞儀をしながら登場したのがSaucy Dogだ。その人柄を見える形でのライヴ・スタートである。歌いながら喪失の記憶が脳裏を過っているような、石原慎也(Vo&G)の感傷的な声は抜群の記名性を誇るが、何よりこの日印象的だったのは自信に満ちた表情をした3人。『カントリーロード』をリリースし着実に景色が変わってきていることを実感しているのだろうか。"煙"、"ロケット"、"ナイトクロージング"と続いていくステージはいずれもテンションが高く、石原の声は涙を拭いながら未来に叫んでいるような若々しい眩しさがあった。常に互いを意識しているように歩幅を合わせるようなアンサンブルは聴き心地がよく、快調なドラムとギターを繋げるベースは特にしなやかである。「別れの曲をやります。何も飾らない、そのまんまのあなたが見たい。今まで弱かった自分にグッバイ」とアレンジされた"グッバイ"が、いつになく力強い。人との別れを歌う彼は、いつも過去の自分に決着をつけるように声を振り絞っているが、その声に反してせとゆいか(Dr)は象徴的なくらい笑顔で叩き、職人気質なベースがそれらを結んでいく。3人が演奏だけではない人間性の部分からグルーヴを出しているのが窺えるライヴだ。夏には大阪から上京し、東京に行くことも発表した彼らは、「またいつか会えますように」という言葉と共に最後の"いつか"を披露。寂しいけど空しくない、別れても熱だけは残る、そんな別れの歌だ。ノスタルジックなこの歌は、いつのまにか一期一会を大切にしたいという願いの歌のように聴こえてきた。

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(Saucy Dog / 写真:渡邉 一生)

昨年の優勝バンド二組が終わり登場したのはパノラマパナマタウンで、彼らは曲が進んでいくにつれて一気にギアを上げていくような、爆発力のあるライヴを展開。2曲目の"世界最後になる歌は"で合唱が起きオーディエンスのテンションが上がってくると、それに呼応するように岩渕(想太/Vo&G)のエンジンがブーストし、"パノラマパナマタウンのテーマ" を終え"MOMO"に入った辺りでは完全にゾーンに突入していた。そしてそれを可能にしていたのが安定感を増してきた演奏力だろう。ビートの速さに対しスピードを上げないギターのミスマッチで快感を呼び込む"エンターテイネント"のような、4人の演奏力と「間」がモノを言うような楽曲でも迫力が増幅している。最近のライヴでは「一切の嘘偽りなく自分自身を曝け出す」といった腹をくくった感のある岩渕に、これまでにはなかった頼もしさがついてきているのも確かな変化である。だからこそ理想には程遠い現在を受け入れながらも、それでも「やりたいことやった人だけが上手くいく。絶対成功すると思ってます。やりたいことやってシーン変えてやるから、ついてこい」という宣言も、ひとつの芯を持った言葉として響いてくるのだ。今の4人は様々な音楽性を取り入れながら「自分達にとってロックバンドとはどんな存在なのか?」ということの答えを音楽として表現する。春にリリースした『Hello Chaos!!!!』収録の新たな代表曲、"リバティーリバティー"での<鳴らせ自由なビート/教科書なんていらないでしょ>という歌は最高に痛快だった。

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(パノラマパナマタウン / 写真:渡邉 一生)

そんな最高の熱気の中で、この日のトリとしての仕事をきっちりと果たしたのがフレデリック。"峠の幽霊"でいきなり喜色をふんだんに含んだ歓声を呼ぶと、同じく『死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない』に収録された"SPAM生活"と続け、初期の楽曲達を続けて披露。彼らの根っこにある、べっとりとしたグルーヴとレイドバックするような不思議な歌謡ロックが妖艶な照明と共に展開されれば、そこはもう彼らだけの舞台である。「音楽で勝負しに来ました」、「格の違いを見せてやろうぜ」(三原健司/Vo&G)という宣誓も放ちながら、その自信に違わぬプレイを "オドループ"から一気に披露。ドラムやベースはもちろん、ヴォーカルが放つ言葉やギターのリフさえも打楽器のように独特のリズムを持って刻まれていく彼らの楽曲は、瞬く間にフロアを爆発させていく。"オワラセナイト"でこの日最大の熱狂を演出したかと思えば、彼らの音楽の中では比較的シンプルだが力強いメッセージを伝える"ハローグッバイ"でその想い強さを胸に突き刺していく、その多彩さもこの日随一だったと言っていいだろう。そして彼らの未来により大きな期待を持ったのが、「今日披露した曲はすべてMASH A&Rとフレデリックが歩んできた道です。そして次にやるのが、高橋武(Dr)も加えた4人で歩んでいける新しい曲です」という健司のMCから披露された新曲"かなしいうれしい"だ。どうしようもなく抱えてしまう悲しいという感情と、同時にだからこそ抱かざるをえない嬉しいという感情。それらを隔たりなく、併せて引き連れて進んでいくような決意を露わにした楽曲は、新曲とは思えないくらい多くの手を上げさせながら見事に本編ラストを華麗に演出していた。「俺達の伝えたいことは全部音楽に詰め込んでます」と言葉を残しステージを後にした健司だが、彼が最初に口にした「音楽だけで勝負する」というのはこういうことなのだろう。単に巧みなリズムで踊らせるということではないのだ。その上で、己が心に抱く想いも全部伝え切り、リスナーと確かなコミュニケーションを取ろうという意志表示なのだ。

01_frd.jpg02_frd.jpg03_frd.jpg04_frd.jpg05_frd.jpg(フレデリック / 写真:渡邉 一生)

最後はフロアのお客さんはもちろん、この日山中との掛け合いのアナウンスで参加していた松本の、ドスの効いた声でのアンコールも響く中再びフレデリックが登場。特別賞を受賞してからの5年間で得た確信や、後輩バンドへの感謝、同じ高さの目線から訴えるエールを健司が口にしラストの"オンリーワンダー"へ。演奏の途中からはこの日出演したバンドの全メンバーが登場して、解放的なフィナーレを迎えていった。

02_anc.jpg写真:渡邉 一生

健司はMASH FIGHTを優勝した6バンドはすべて、いい意味での「変態」だと言っていた。その音楽を聴いていると自分の中の何かを変えてくれるんじゃないか......!って思えるような、特別なバンドなんだと。それは彼らが全員、自分達の力で何か変えてやろうという気概を持ったバンド達であるということである。このイベントがただの一回きりのものではなく、いずれなんばhatch大阪城ホールで行われることを目指すような旨の発言もあったが、確かにこの曲者達はいつかシーンを丸ごと変えるのかもしれない――理想と野心に燃える4バンドを見ていて、かけつけたリスナーの多くがそんな期待を膨らませたであろう一夜となった。

01_anc.jpg(写真:渡邉 一生)

MASH FIGHT! Vol.6 1st Season MATCH

初代優勝バンドのTHE ORAL CIGARETTESが日本武道館公演を成功に収めるなど、輩出してきたバンド達も着実に大きな成果を上げているオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」。そのプロジェクトが主催する公開ライヴ型オーディション「MASH FIGHT」が、昨年までとは形式を変え6度目の開催を迎えた。東京と大阪でそれぞれバンドを選出し優勝バンドを決めていく流れから、今年は1~3月の1st Season、4~6月の2nd Season、7~9月の3rd Seasonの3つの期間に分け、そこで選ばれたバンド達が最終的にグランプリをかけ「FINAL MATCH」を競い合うというシステムに変更。映像音源審査とその後のライヴ審査で1st Seasonと2nd Seasonを代表するバンドを選出し、そのふたつの期間の代表バンドと映像審査を通過した3rd Seasonのバンド達で「FINAL MATCH」と題されたライヴ審査を行いグランプリを決定するというものだ。7月2日TSUTAYA O-Crestにて行われたのが、映像審査を通過してきた6組のアーティストによるライヴ審査「1st Season MATCH」。12月3日渋谷WWWで開催されるファイナルへのシード権をかけてしのぎを削り合う、僅か15分の出場時間に自身らの未来を懸ける原石達によるステージが始まった。

出音から荒削りだが情熱的な音を聴かせるアンサンブルと、あきやま さる(Vo&Gt)による「渋谷ーー!!」という叫び声が、いきなりバンドのパーソナリティをどっぷりと伝えてくる。平均年齢17.8歳、静岡県出身の青はるまきの舞台がスタートだ。「この瞬間を楽しみにしてきた」と言わんばかりの好奇心と、トップバッターを務めるという緊張感が合わさった歌声が、青春性を伴ったキャッチーなメロディと合わさってステージに熱気をもたらす。そして何よりも特徴的なのが可愛げのあるキッチュな鍵盤の音で、涼しさを持ったこの音がバンドの音楽に合わさり個性的な音像を体現。「今日はオーディションじゃないですか? だから誰に対してライヴするのか、何のためにライヴをするのか考えたんです――手を上げてくれたあなたのために歌います。あなたのために売れます。あなたのためにもっと大きなステージに立ちます」という決意とシンクロするかのような"@余韻"では、前のめりで不器用だが目一杯の熱意が込もり、そこには「これから自分達の歌で多くの人々を連れていきたい」という想いがまんま乗り移っているように感じさせた。

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青はるまき

続く札幌出身のAnger Jully The Sunは90年代オルタナティヴのようなひりついたサウンドを出しながらも、真ん中にあるのはあくまでも低くくぐもったまま伸びていく小竹森敬太(Vo&G)の声。灰色の感情を伝えるような声色が、堂々としたステージングと相まって迷いのない歌として響いてくる。きっとステージに立つ4人全員が「ここでどんな音を鳴らしたいか」をハッキリと共有できているからだろう。「今日は『MASH FIGHT!』っていう大会でライヴに来ましたが、僕らはまったく大会だとは思ってなくて。今日来てるお客さん、PA、スタッフ、すべての人に僕らの気持ちを届けに来ました。長い人生の中の1分1秒でもいい、あなたたちの心に少しでもこの音楽が残るように刻みに来ました。今日来てくれたあなた達のために歌います」(小竹森)という言葉は、きっと彼らが音を鳴らす理由そのものだ。"灰皿"、"望遠鏡"、"youth"とプレイが進むにつれてエモーショナルになっていった彼らのステージには、その切実な信念が貫かれているからこそのブレない「鳴り」があった。

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Anger Jully The Sun

三番手に登場したのはEgoGram。「楽しくいこう」(山本廉/Vo&G)と手短な挨拶を済ませると、山本のクセのある声とそのヴォーカルと火花を散らすようにグイグイと前に出てくる坂田直謄(G)の硬質なギターの音色で、フロアに向かって自身らの存在感を提示していく。「バンドは見ようと思えばYouTubeでも見れるし、その再生回数やTwitterのフォロワー数とかなんでも数字で見れてしまうような、そういう信用できないようなこの時代の中で、今日こうやってみんなが足を運んで見に来てくれてることには何よりも価値があると思う。そんなネットで見れる数字よりも、僕は岡山からこの東京に向かうまでの10時間のほうが信用できるし、ツアーで回った走行時間のほうが信用できるし、ここに来てくれたみんなのことが信用できます。絶対また会いましょう、最後にそんな曲を」という言葉と共に歌われた"グッドバイ"は、4人の抑えきれない情動が見事に乗っかった瞬間で、坂田と垣内渉(B)のコーラスが重なる瞬間のバンドとしての一体感が強烈だ。そんな重く熱いアンサンブルを最後に叩きつけていくパフォーマンスでステージを後にした。

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EgoGram

前半の3組を終え、後半戦の始まりに登場したのはスロウハイツと太陽。名古屋を中心に活動する4人組である。「他の誰かじゃなく、今ここにいるあなたを救うためだけの15分です」(シミズ フウマ/Vo&G)という言葉と彼のはにかんだ笑顔が、このバンドが見せるこの後のステージングを示していたと言っていいだろう。ゆったりとしたBPMを軸にした楽曲達は、感傷的な心情をそのまま映し出すような幼さを残す声を引き立てていき、時に訴えるように歌われていく<居場所なんて どこにもないこと>、<もう生きてちゃいけないと思ったこと>("本当につらくなってしまったあなたへ")という言葉達がストレートに胸のに迫ってくる。「今日が僕らとあなたにとっての夜明けでありますように」(シミズ)という願いと共に奏でられた"夜明け"での、ラスサビを前にして上げられた多くの拳はきっと、終始芯を感じさせる言葉とそれに寄り添うように演奏されたリズムとメロディへの賛辞だろう。

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スロウハイツと太陽

いよいよ残すアクトもふたつとなった五番手として表れたマイアミパーティは、「何もない1日をいい1日にできるように札幌からきました」という掛け声とともにスタート。性急なリフのロックンロール・ナンバーは、さくらいたかよし(Vo&G)の口から畳みかけるように発砲されていくリリックを乗せて子気味よくフロアに迫っていく。「楽しい1日にしましょう。笑って帰る1日にしましょう!」(さくらい)という言葉通りの、彼らのスタンスを存分に伝える爽快な演奏が印象的だ。ギュウギュウに言葉を詰め込みサビでグッと開けていく"夜明け前"のような楽曲の構造ももちろんだが、照れくさそうに口にした「ド緊張ですよ」(さくらい)というMCなども含め、演奏だけではなく言葉の隅々に自分達のリズムを持った姿に彼らのアイデンティティが滲んでいる。「いろんなこと考えました。今日優勝しないと、今ここにいる人達にはもう二度と合えないんじゃないか、メジャーデビューしないとニ度と会えない人もいるんじゃないかって思いました」と素直に語られた不安は、しかし同時にこのバンドが抱く未来への期待の裏返しだろう。地声に近い熱い声に乗ってストレートに響く"アベリア"にはそんな意志が宿っていて、去り際の「俺達とお前らお客さんでいい音楽を未来に残す!」という決意にも胸を熱くさせれた。

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マイアミパーティ

さあ、あっという間に迎えた最終アクトはRollo and Leaps。大学生4人で構成された、都内を中心に活動する正統派のギターロックを聴かせるバンドである。1曲目の"ミッドナイター"を終えた後の「僕らはあんまりカッコいいこととか言えないんで一番いいステージして帰ります」(高谷瞳二/Vo&G)というMCに象徴されるように、彼らの音楽には余計な飾りつけは一切なし。自分達の武器を真っ直ぐ聴かせるのが上手いバンドで、メロのアレンジは工夫が凝ってはいるが聴き心地はよく、ポピュラリティを持ったサビに向かって聴き手の体内を静かに燃やすような展開が見事だ。そして最も印象に残ったのは"箱庭の子どもたち"を始める時に告げた「俺らに一票入れてください。絶対に決勝に行きたいんで」という「真っ直ぐ過ぎる」セリフだろう。不器用と紙一重の言葉だが、しかしこの日のアクトの中で唯一といってもいいほど「勝負」を意識した高谷の肉声は、彼らの真剣さと音楽に対する情熱を伝えるのには十二分で、"箱庭の子どもたち"の抑えたリズムから生まれるグルーヴには並々ならぬ熱意が憑依しているように聴こえてきた。

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Rollo and Leaps

だが、きっちり他のバンドにはないエネルギーを見せつけていたのが、Rollo and Leapsの終演と同時に始まったオーディエンスと審査員達による投票とその集計を待つ間にゲスト・アーティストとして登場した、本大会の2015年の優勝バンド・パノラマパナタウンである。多くの舞台やプロとしての楽曲制作を体験してきたその経験値を血肉化してきた重厚感のあるアンサンブが快調で、ねっとりしたグルーヴを聴かせる"シェルター"も、彼らの代名詞とも言えるヒップホップを吸収したロックナンバー"ロールプレイング"も、緩急をつけながら爆発していくパフォーマンスを披露。自身らの曲がライヴの中で育っていっていることが如実に表れるプレイであり、何より「ただの30分じゃない。ただのオーディションのライヴじゃない。今日を伝説の夜にしにきました」という岩渕想太(Vo&G)の宣誓にも表れている通り、彼らのスタンスは常にチャレンジャー。「未来のことを考えると正直泣き言を言う時もある。でも、俺達は光しか見てないし、自分達のやりたいことを貫けばシーンを変えられると思ってます。だからみんなもやりたいこと貫いて欲しいと思います」(岩渕)という告白も飛び出したが、ある意味、この日一番「等身大」の姿で臨んでいたのが彼らだろう。苦難を知ったからこそ、真ん中にある理想や信念だけが歌になるようになってきたのだろうか。そんなゲストアクトとしてではなく「7組目のアクト」として登場してきたような熱演は"リバティーリバティー"で終幕し、会場に熱気を残し「結果発表」へとバトンを渡していった。

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パノラマパナマタウン

そして数々のライヴを観た興奮と、結果への期待と不安が会場中を覆う中発表された優勝バンドは、スロウハイツと太陽。投票含めて僅差であったという激戦を制しFINAL MATCHの出場権を手にした彼らが、12月3日、バンドとしての真価を発揮できるかどうか注目だ。

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今回FINAL MATCHへの出演権を獲得したスロウハイツと太陽

All photo by 釘野孝宏

MASHROOM 2017

THE ORAL CIGARETTES、フレデリック、LAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンが所属、プロジェクトを立ち上げ今年で5周年を迎えたMASH A&Rの新春ライヴイベント「MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017」が、1月15日、恵比寿LIQUIDROOMにて行われた。

一般発売開始後すぐにソールドアウトとなった本公演には、寒波の訪れで冷え込んでいたにもかかわらず、朝早くから多くの観客が来場。公演に先駆けて14時にオープンした2Fエリアでは、各バンドがプロデュースした特製フード&ドリンク、メンバーの等身大パネルや直筆の履歴書などが飾られたKATAでの展示を楽しんでいた。

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(撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

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(撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

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撮影:Viola Kam (V'z Twinkle)

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撮影:Viola Kam (V'z Twinkle)

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撮影:Viola Kam (V'z Twinkle)

16時45分、オープニングアクトからライヴスタート。毎年MASHROOMのオープニングアクトには前年のMASH FIGHT!のグランプリアーティストが登場するのだが、昨年のMASH FIGHT! Vol.5はダブル・グランプリ受賞となったため、今年はオープニングアクトも2組!

 まずステージに飛び出したのは「YAJICO GIRL」、大阪を中心に活動する19〜20歳の5人組バンドだ。満員の会場にゆったりとしたテンポの"Casablanca"が響き、すでに存在感たっぷりの堂々としたパフォーマンスでオーディエンスを惹きつける。サビでは自然とハンドクラップが沸き起こり、四方颯人(Vo)の透明感ある伸びやかな歌声とリリカルなギターのアンサンブルが印象的な"いえろう"へ。「僕らのペースを守りつつ、頑張っていきます。会場が熱狂的なうちに最後の曲をやりたいと思います!」というMCと共に新曲を披露。瑞々しくポップでありながらちゃんと一癖あるメロディ&アンサンブルは彼らの中にある確かなヴィジョンを感じさせるもので、最後はステージからエモーショナルにサウンドを解き放ち、フロアの熱をもう一段階押し上げてステージを去った。

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(YAJICO GIRL / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 続いて登場したオープニングアクト2組目は「Saucy Dog」。彼らもYAJICO GIRL同様、大阪を中心に活動してきた3ピースバンドだ。石原慎也(Vo&G)がカウント代わりに地を打ち、ミドルテンポのバラード"いつか"を名刺代わりに轟かせる。歌詞の一言一句が心にダイレクトに飛び込んでくるような石原の力強い歌声と、せとゆいか(Dr)の可憐なコーラスが印象的に絡み、シンプルな3ピースながら広がりのあるバンドサウンドと共に楽曲に託された心象風景を見事に描き出していく。ところどころ噛んでしまうMCもご愛嬌。最後は弱い自分に別れを告げるために書いたという"グッバイ"を大きく歌い上げ、ここから始まる新たなスタートに期待を感じさせながら本編へとしっかりバトンを繋いだ。

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(Saucy Dog / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 オープニングアクト2組の熱が残る中、先陣を切ったのは「パノラマパナマタウン」。ど頭から沸騰必至のキラーカード"世界最後になる歌は"を切るという攻めの姿勢で開幕、岩渕想太(Vo&G)がガンガンに煽りながらフロアのテンションを急上昇させ、続く"パノラマパナマタウンのテーマ"では一転、タメの効いたグルーヴと岩渕の自由なフロウで心地よく揺らし、LIQUIDROOMをパノパナの色で染め上げる。昨年はオープニングアクトとして登場したMASHROOMへの凱旋の喜びを見せつつも気迫は十分。タイトなビートで不敵に攻め立て飛翔する"シェルター"、そして年末に新たにミュージックビデオが公開された「過去と未来をつなぐ曲」"MOMO"と、この1年でビルドアップしてきたバンドの実力をきっちり提示。さらに一癖どころか100癖くらいありながらもリズミカルにオーディエンスを巻き込んでいく新曲"リバティーリバティー"でフロアを大きく揺らし、最後は初心を忘れることなく飛躍を誓うかのように"SHINKAICHI"で幕を閉じた。

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(パノラマパナマタウン / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 続く「LAMP IN TERREN」は、パノパナの汗が飛び散るステージングとは打って変わって、張り詰めた緊張感の中で松本大(Vo&G)の歌声を深く強く響かせながらライヴスタート。秘めた攻撃性が滲み出る歌声とバンドサウンドでフロアを扇動する"innocence"、ドクドクとした心臓の鼓動をビートにシンクロさせながらスタートした"heartbeat"の2曲でその歌の奥深くにオーディエンスを引きずり込み、ここまでのアクトとはまた違う共鳴を引き出していった。ノリよく熱狂を煽るわけではない、けれど、歌を美しく彩りながらもその一音一音に確かな決意が漲らせるストロングなアンサンブル、そして何より聴き手の心臓をつかむような松本の歌に、じりじりとオーディエンスの熱が上がっていく。「流れ星よりも、流した涙こそが願いを叶えるんだ」という想いを綴ったという光溢れる新曲"涙星群の夜"を披露した後、最後は"キャラバン"で大きなシンガロングをフロアに響かせ、まさに「魔法のように」鮮烈な印象を残していった。

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(LAMP IN TERREN / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 おなじみのSEに乗って登場した「フレデリック」は、のっけから"オワラセナイト"でフロアを完全掌握、そのまま一気に"KITAKU BEATS"へと雪崩れ込み、大きな歓声を巻き起こしながらどこまでもダンサブルにオーディエンスを揺らしていく。「俺達はグランプリやなくて特別賞を受賞してMASH A&Rに入ったんですけど、誰よりも特別、オンリーワンであることを見せつけます」という三原健司(Vo&G)の剥き出しのMCで白熱を煽りながら、"ナイトステップ"では横揺れの黒いダンスビートで「リズムに乗って自由に踊る」ことの快楽性を体現し、そのまま"リリリピート"、"オドループ"と畳み掛けて天井知らずの狂騒を描き出す。もはや貫禄すら漂う、盤石のアクト。「みなさん、最後に登場するのは大魔王ですよ!?(言わずもがなTHE ORAL CIGARETTESのことです)」というMCで暗に「お前らそんなもんか!」とフロアを挑発しつつ、「音楽大好きという気持ちを声に出して、俺達に全部くれませんか?」という言葉と共にラストの"オンリーワンダー"へと突入。この1年で自分達が打ち出すべき明確なメッセージを見つけ、それを楽曲制作とライヴを通してきっちりと血肉化してきたフレデリックならではの強さと輝きを熱狂の中に刻みつけ、颯爽とステージを去った。

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(フレデリック / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 

そして、トリを飾るは「THE ORAL CIGARETTES」。転換中から早くも叫声が上がり、すでに一撃で沸点を超えそうな熱気に迎えられて4人が登場。「一発目はあなた達に感謝の歌を!」という山中拓也(Vo&G)の雄叫びにワッと歓声が起こり、"Everything"へ。山中の歌に呼応する盛大なシンガロングも相まって、強い多幸感がフロアに弾けていく。ドラマティックなサビに大きく心が揺さぶられる"5150"、 叩きつけるような演奏に血湧き肉躍る"STARGET"と、もはや臨界点突破状態のテンションの中でバンドとオーディエンスの激しくも確かなコミュニケーションが交わされていく様は圧巻。中盤のMCでは「そもそもバンドは自分達発信じゃないと誰も気づいてくれない。死ぬほどつらい時もあるけど、つらい想いをしたからこそ、このステージに立てる。俺は死ぬほど悩むことすら美しいと思うし、そうやって成長できるんだから、周りのことなんて気にするな!」と山中らしい言葉で目の前の一人ひとりにメッセージを伝えつつ、後半戦、さらなる気迫を燃え上がらせて"DIP-BAP"、"カンタンナコト"、"狂乱 Hey Kids!!"と怒涛の熱量でぶっ放し、目の眩むような熱狂の中で大団円を迎えていった。有象無象に渦巻く感情のすべて呑み込むようなスケールと色気を放つようになった山中の歌声も、それぞれにアグレッシヴに攻めながらもバンドとしての照準はピタリと定まった演奏も、今まさにロックバンドとして大きな進化を遂げているオーラルならではの勢いと確信が漲るステージだった。

ORAL_0007.jpgのサムネイル画像(THE ORAL CIGARETTES / 撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 アンコールは今夜限りの特別企画。なんと、所属4アーティスト同士がお互いのカバーを披露するというスペシャルな企みが披露されたのだ。ちなみに、その組み合わせはくじ引きで決められたという。

 最初に登場したのはフレデリック、選曲は本編ラストを飾り大熱狂を巻き起こしたばかりのオーラルの"狂乱 Hey Kids!!"。本家が演奏した直後にカバーというマゾな展開にもかかわらず、「よくできました!」という拓也のセリフまで含めて原曲に忠実なカバーで堂々と攻め上げ、フロアからは大きな歓声と拍手が巻き起こった。続くLAMP IN TERRENは、フレデリックの"オドループ"を選曲。いきなりアカペラで始めるという、歌を聴かせることに長けたバンドの武器を生かしたカバーが感嘆を誘う。3番手はパノラマパナマタウン、選曲はLAMP IN TERRENの"キャラバン"。ラップを絶妙に盛り込んだ展開やギターの響きにパノパナらしさを差し込みつつ、ラストのオーラルへとタスキを回した。そしてそのオーラルは、パノラマパナマタウンの"シェルター"を披露。リリックを大胆に書き換えてMASH A&Rの仲間へのメッセージを歌ったその姿勢はもちろん、先輩バンドとしての格を見せつけるパフォーマンスで男らしく後輩へとエールを送った。そのまま流れ込んだ"大魔王参上"ではYAJICO GIRL、Saucy Dogを含む全6組がステージに上がり、仲間でもありライバルでもある所属アーティスト同士が音の中で互いに笑顔を交わし合い、MASHROOM 2017は幕を閉じた。

EN-ALL.jpg(撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

ALL_0001.jpgのサムネイル画像(撮影:Viola Kam (V'z Twinkle))

 なお、 1月16日(月)よりMASH A&Rによる2017年の才能発掘オーディション「MASH FIGHT! Vol.6」がスタート。応募の詳細はMASH A&Rオーディションページにて。

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2017/